新聞紹介記事(日本農業新聞H9 12/7)


荒廃桑園生かし産地化

 白鷹町鮎貝地区の四人の若い農業者グループが、荒廃桑園を開墾して「啓翁桜」の共同栽培に取り組み、13年かかって5f、5万本を出荷する県内でも指折りの産地をつくり上げた。今シーズンの出荷作業は間もなく始まるが、この実績を基に来年からは新たな二人の仲間を加えて農業組合法人へ発展させ、稲作も含めた地域農業の担い手として再スタートする。
同町は、県内でも有数の養蚕地帯で、現在も110fの桑園がある。だが、養蚕の衰退で未使用桑園が増え、荒廃桑園は半分以上の64fに達している。この中で、水稲専業農家の今邦夫さん(41)は冬季の出稼ぎに代わる作目として、当時県内に入り始めていた「啓翁桜」に着目した。
青年活動などで知り合った同世代の樋口太一さん(41)、小口英夫さん(39)、小口尚司さん(36)の三人に呼びかけ、小四王原花木組合を旗揚げした。1984年、JAの担当者と足を運んで七戸の養蚕農家から合わせて84eの桑園を借り、バックホーで開墾した。
 年ごとに面積を増やし、190eになったところで先進技術導入推進事業の認定を受け、今さんの自宅わきに55平方bの促成ガラスハウスを建設した。苗の植え付けからすべて4人の共同作業で、84年には待望の初出荷にこぎつけた。
 自然低温に合わせた12月下旬からの促成栽培を中心に、先端まで芽がついた良質な切り枝を確保するよう、肥培管理と栽植密度を調整。共同栽培のおかげで品質のそろった花木を安定出荷できるので、市場の評価も高い。
 今年は新たに借地した1fも含めて花木園地は519eに拡大、目標の1人1f以上も射程距離に入った。これを機会にメンバーを6人に増やし、来年1月には農事組合法人「サンファームしらたか」を設立。集落内でいま進行中の基盤整備事業の推移を見ながら、50f規模の稲作の共同経営も事業に組み入れていく。同グループは長年の努力が認められ、本年度の県ベストアグリ賞(東北農政局長賞)を受賞した。

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